ドッグフードに入っているビートパルプについてどこよりも詳しく説明します。
「ドッグフードに入っているビートパルプって何」と疑問に思ったことはありませんか?
知らない素材や、何かよく分からないものが入ったドッグフードを愛犬に食べさせることはなるべく避けたいですよね。
ビートパルプは一体何なのか?
なぜ使う必要があるのか?
ということについて理由と説明をしていこうと思います。
この記事を読めばビートパルプについて深く理解できると思います。
是非最後まで見ていってくださいね。
目次
ドッグフードに使われている原料・ビートパルプとは?
名前から意味をたどっていくとビートパルプの「ビート」とはサトウダイコンを英語で表した言葉で「パルプ」とは食物繊維の事です。
このことから言えるのは「サトウダイコンの食物繊維」ということです。
サトウダイコン・別名甜菜(テンサイ)とは?
サトウダイコンとは、サトウキビと同じように砂糖を取る為につくられた植物です。
名前のとうり見た目も大根に似ていて特徴として根の部分がとても大きく1㌔ぐらいに育つ野菜です。
この根っ子の部分を絞って出た煮汁を沸騰(ふっとう)させると糖分が摘出(てきしゅつ)できて砂糖を作ることができます。
サトウキビで全て砂糖を作っているというイメージがありますが、実はサトウダイコンからも砂糖を作ることが出来ます。
特に寒いところでよく育つので北海道などで栽培されていてます。
またヨーロッパなどではサトウキビではなく砂糖はサトウダイコンから作ることのほうが多いようです。
サトウダイコンの味
実際食べてみると最初は甘みが広がるが、後味で泥臭い、土の味がするといった食感があります。
もちろん毒性とかは一切ありません。
人間が食べても安全ですが、泥臭くてそのまま食べるような事はできない為、スーパーや八百屋さんなどの一般の市場では売られていません。
泥臭い原因がゲオスミンという成分ですが、200度以上に加熱すると泥臭さは無くなります。
サトウダイコンの根自体は人のレベルで食べてもまったく問題は無いということです。
ペットフード用のビートパルプ
フード用に使っているのは砂糖の元になるサトウダイコンの砂糖を取った後の残りの根っ子の部分のことをビートパルプと呼んでいます。
糖分を取った後に残るサトウダイコンの使わなくなった残りの部分ということです。
私たちが料理などでニンジンや大根などの皮を剥いたときに、皮を食べることは出来るのに捨ててしまいますよね。
それと同じく、サトウダイコンの『食べることは出来るけど、人間が食べない部分』がビートパルプになります。
説明を聞くと体に良い気はしませんし、愛犬にあげたくはないと思う人もいらっしゃるかもしれません。
ですが、ドッグフードに入っているだけあってメリットもきちんとあるんです。
ドッグフードに入っているビートパルプのメリット
ドッグフードの全体量を増やすことが出来る
ビートパルプはサトウダイコンのいらない部分のため、安くで仕入れることが出来ます。
フードに混ぜることで全体量を増やすためにはもってこいの原材料です。
私たちだって節約のためにニンジンや大根の皮をきんぴらにしたりしますよね。
そんな風に、かさ増しをしてコストを抑えるためにピートパルプを入れているのです。
そのおかげで価格を抑えたドッグフードを販売者側は売ることが出来るという仕組みが出来あがります。
特に穀物(とうもろこしや・麦)主原料のフードだと食物繊維は十分に取れている場合が殆どです。
穀物主体のフードなのに、ビートパルプを入れているということは食物繊維よりもかさ増しの目的を主体として入れている傾向が強いようです。
しかし、普通は食べない部分を愛犬のご飯に入れているなんて、なんとなく不安な気持ちになりますよね。
一般に市販されているフード全体の3%ぐらいは、ビートパルプによってかさ増しされていることが多いようです。
また、食べた後にお腹の中で水分を含んで大きくなることで、犬の満腹感を満たしてあげる働きやダイエットの効果もあります。
便(ウンチ)を硬くするため
ビートパルプには便を硬くする成分が入っているので、ドッグフードを食べると便がきちんとした固まりになって出てきます。
便(ウンチ)が取りやすいと散歩のときに助かるので、私達としては嬉しい成分ですよね。
外で柔らかい便を取るのは難しいことがありませんか?
家の犬用のトイレを掃除するみたいには行きませんし、柔らかかったらスコップや手で取るのも簡単には出来なくなってしまいます。
正直、柔らかいウンチを取ることは大体の人が嫌になるんじゃないでしょうか?
それを防いで便を固めてくれるのがビートパルプです。
もし、ウンチが硬くなかったら
ホカホカのウンチだと匂いもしますし、散歩の時につかみにくいと形が崩れて内部がベッチョっと中身がでてしまい更に匂いがきつくなります。
朝起きたら犬が部屋でウンチをしていた時に、柔らかくてつかみにくいウンチだったら手間がかかります。
特に朝はバタバタしている事が多いので困りますよね。
また違う日に、出勤前にせっかくシャワーを浴びたのに朝の散歩中に、臭くて崩れそうな柔らかいウンチを掴むとテンションがさがりませんか?
都会だとウンチは持ち帰らないといけないので、袋に入れて持ち運ぶときプーンと匂ってしまいますからね。
朝、何のためにシャワーを浴びたんだろう?私ってなります。
こういった事を防ぐことが出来るといったメリットがあります。
ドッグフードに入っているビートパルプのデメリット
砂糖が残っている場合がある
サトウダイコンは砂糖の元になっているので、砂糖の部分を取り除く時に、糖分の成分が取り切れていないことがあります。
成分が残っているとは言ってもほんの少しの量になりますが、人間より体の小さい犬が何度も口にしてしまうのは怖いですよね。
残っていた糖分は人間に対してはごくわずかでも、犬にとっては大量に摂取したことも考えられます。
割合で言うと人間が角砂糖を食事のたびに一つずつ食べるぐらいの勢いで砂糖を取り込んでいってしまうということになります。
食べ続けると糖尿病や肥満になる可能性が高くなってしまいます。
しかし、あくまで「糖分が入っている場合がある」ということなので絶対に入っているわけではありません。
そうでなければすでに『ドッグフードのビートパルプは危険』なんてことになっていることでしょう。
ウンチに影響するので健康状態の判断を間違えることがある
本来の犬の健康状態に気付けないことがあります。
理由は先ほど話した様にビートパルプは便を硬くしてくれる成分が入っているからです。
具合が悪くなった時に本来の体調では便が柔らかくなったり下痢気味になる場合でも、ビートパルプが入っているフードを食べている限りは便が硬くなってしまい、愛犬の体調の異常に気付かないといったことが起こりえます。
犬のウンチは毎日見ることによって健康状態を探ることができます。
ビートパルプは本当に役に立っているのか?分かりにくくなりますよね。
コンビニやスーパー・ホームセンターで価格を抑えたドッグフードはビートパルプを使っていることが多いので「便の様子が変化していないから元気」という判断は出来なくなってしまいます。
愛犬の病気は、あなたの普段のほんの小さな気付きから早期発見が出来る事で防げることが殆どです。
愛犬の体をベースに考えるとデメリットと受け止めることが出来るでしょう。
ビートパルプについて気になる事
ビートパルプに含まれる食物繊維の働きについて
ビートパルプには、食物繊維が含まれますが大きく分けて2種類あります。
水溶性の食物繊維(すいようせいのしょくもつせんい)
水に溶ける食物繊維で腸内の環境を整えてウンチを柔らかくして、排便しやすいように腸の中で働きかけます。
不溶性の食物繊維(ふようせいのしょくもつせんい)
水分を吸収して便(ウンチ)を大きくしながら腸を刺激して、固まった便を外に出すようにする働きがあります。
実際は水溶性の食物繊維を取り入れてないフードが多かったりするのが現状です。
不溶性の食物繊維の割合が大きいと便が硬くなってしまったり、ウンチが大きくなり、外に排出されにくくなってしまいます。
便秘になりやすいといった事が一部の愛犬家の間でささやかれています。
しかし、この件については犬の個体差によって代わってくるのでハッキリとは言えません。
ビートパルプが入ったドッグフードを選ぶとしたら、あなたの愛犬に対して水溶性と不溶性の食物繊維が両方ともバランスがよく配合されたフードか理想といったところでしょう。
ビートパルプの摘出の仕方
一般的にサトウダイコンの根から糖分を搾り出す方法として2通りあります。
①加熱して絞ってから摘出する方法
②硫酸系(りゅうさんけい)の薬剤を投与して摘出する方法
問題となるのは②の薬剤を投与して絞った方法で、この薬剤を使った摘出方法はコストを安く抑えられる為、販売業者が多用している可能性が高いということです。
もしこの②の摘出方法での硫酸系の薬剤の成分がわずかでも残っていると思ったら心配になりますよね。
ビートパルプの価格への抵抗
メリットでもあるのですが、ビートパルプは砂糖を絞った後の残りカスで、実際はタダ同然で手に入るといわれています。
これが事実だとしたら販売業者側のコストを削減するにはとてもよいですよね。
しかし、私たち飼い主にとっては、愛犬にタダ同然に配られた食べ物を与えるのはちょっと抵抗があります。
私の世代は親から「タダほど怖いものは無い」って昔から教わってきたのですから。
正直な気持ち少し不安です。
ビートパルプは安全か危険か?
安全か危険でいうと、『安全寄り』と言ったところです。
微妙なラインではあるのですが、私個人としては「積極的には食べさせたくないけど、ギリギリ安全寄り」といった意見です。
優柔不断な答えになってしまいましたが、デメリットの部分がすごく気になる反面、便の取りやすさとドッグフードの値段というのも重要視したいのです。
確かにデメリットの部分はありますが、今までドッグフードに入っていたということは健康面に異常なしという判断が下されているからでしょう。
デメリットばかりを問題視する必要はないと思います。
ですが、やはりデメリットの部分に思うところがあるので積極的には食べさせたくはないという結果ですね。
犬は本来肉食寄りの雑食なのでそこまで食物繊維を必要としません。
過剰に摂取する必要性も無いのでビートパルプは必要の無いものと私は思います。
あなたがどうしてもデメリットの部分が気になるのならビートパルプが入っていないドッグフードを選んであげてくださいね。
ビートパルプ使われ始めた理由と由来
始まりは元々家畜を育てる為に飼料用のフードに入れる原料として使われてきたのがビートパルプです。
ウンチも良く固まるので処理や掃除もしやすく、フードの総量を多くすることが出来ます。
更にコストを抑えてより安く食べ物を与えることができるので牛・馬・羊・鳥・豚などの家畜を育てるのに食料としてとても効率が良かったのです。
実際、昔の海外のドッグフードを出していた会社は飼料用のフードを作っていた会社がほとんどだったという背景があります。
昔からの飼料用の食べ物の延長線上という残念な概念がドッグフードにもまだまだ残っているということですね。
ビートパルプについてまとめ
メリット
①ドッグフードを安く購入できる
②ウンチを硬くして、処理しやすく臭いを抑制する効果がある。
③食物繊維をとることができる
④お腹の中で水を吸収するので、満腹感を得ることが出来る
デメリット
①犬の本来のウンチでの健康状態がわかりにくい。
②ビートパルプに糖分が残っている場合・肥満や糖尿病の恐れがある。
③サトウダイコンから糖分を摘出する時に硫酸系の薬剤を使っていた場合、ビートパルプにもし薬剤が残っていたら危険。
④水溶性より不溶性の食物繊維が多すぎると便秘を引き起こす可能性がある。
覚えておきたいこと
①ビートパルプはほぼ無料で入手できる。
②元々は家畜用の食べ物に含まれていた。
③販売者側の利益を優先した素材。
④サトウダイコン自体は人が食べても大丈夫な野菜。
最後に・・・
ビートパルプについて正直、調べていくうちにデメリットの方が勝っている記事になってしまいました。
まだまだ日本のペットフード業界は遅れを取っているのが現状です。
市販の安価なドッグフードにはこのビートパルプが含まれていることがほとんどです。
だからと言って食べさせなくてはいけないという訳ではありません。
毎月のドッグフード代にコストを掛けたくても、経済状況が苦しくて手を出せなかったり人それぞれ事情があると思います。
あなたの今の状況と判断で原材料をしっかり確認したうえで、ビートパルプが使用されているものか使われていないフードを選ぶと良いでしょう。
日本のペットフード業界の事実をあなたに知って欲しくてこの記事を書きました。
フードの原材料に関する記事を下にまとめていますので読んでもらえたら嬉しいです。